妻の父のコネでウォール街のエリート銀行家として流されるように生き、妻の死にすら無感覚になってしまった男が、身の回りのものを破壊することで、ゼロからの再生へと向かっていく姿を描いたドラマです。
地位も名声も富も得てはいるが、仕事は空虚な数字を追うだけ。数字の背後にある真実や人間たちの葛藤には何一つ関心を持つこともなく生きていた。そんな時唐突に交通事故で妻が死んだ。しかし彼は妻の死に際して実感もなく、悲しみや感傷も何一つ覚えることができず一滴の涙でさえ流せずにいた。自分は果たして本当に妻を愛していたのであろうか?義父のある言葉と、偶然知り合ったベンディングサービスコールセンターの女性とその息子との交流から、自宅のもの、会社のものなど身の回りのあらゆるものを破壊し、自分の在り処を探しはじた矢先に妻の残した「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」というサンバイザーに貼り付けたポストイットのメモを見つける。
まずもって主演のジェイク・ギレンホールの演技は相変わらず素晴らしい。虚ろな人生、生きている意味と価値観を喪失してしまった都会に暮らす人間の苦悩を暗く落ち込むのではなく、突き抜けた明るさで見事に表現している。全てを破壊し、本当に何も亡くなった中に妻の愛を見つけ出すという、喪失から発見までの物語を演ずるのに彼ほど最適な役者はいないであろう。
暗く悲しいラブストーリーを予想して鑑賞したのだが、実は予想を全く覆す再生と発見の物語であった。
原題は「Demolition(破壊)」。劇中のメモの言葉が邦題になっているのだが、このほうがしっくりくる。国内配給会社のファインプレーである。
この映画結構語れば語るだけ未見の人には謎が深まるだけだと想う。実際鑑賞するまでの僕がそうだった。ユーザー評や評論家の記事を読んでもちっとも実感がなかった。
自販機、サンバイザー、メリーゴーランド
この三つのワードが「Demolition」を軸とした発見と再生のヒントとなる。じっくりと観ていただき何か感じて欲しい。

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